男性のクラミジア感染症とは?
クラミジア感染症は、日本国内で最も感染者数が多い性感染症(STD)です。男性においては、症状が軽度または無症状であるため、感染に気づかず放置されることが多く、深刻な健康リスクを引き起こす可能性があります。
クラミジア感染症は、早期発見と適切な治療によって完全に治癒が可能です。感染が疑われる場合やリスクのある行動を取った場合は、医療機関で検査を受けることが自分自身とパートナーを守る最良の手段です。
世界保健機関(WHO)が、クラミジアを含む性感染症に対する新たな治療ガイドラインを公表しました。薬剤耐性の問題に対処するため、適切な抗生物質の選択や用量が示されています。このように現在では最新の科学的知見に基づいた、より効果的な治療法が推奨されています。
また、クラミジア感染症を放置することのリスクが明確になっています。男性女性ともに、HIV感染のリスクが2〜3倍に増加したり、不妊の原因となる可能性があります。自分の体はもちろん、パートナーのためにも、なるべく早めに治療することが大切です。
男性のクラミジアの症状
クラミジア感染症は軽度の症状が多いため、別の疾患や一時的な不調と誤解されやすいです。
クラミジアのよくある症状
陰部のかゆみや不快感ある
かゆみや不快感は、比較的軽い症状のため、普段の生活でも軽視されがちです。汗や下着の刺激で同じような症状を経験したことはあるかと思いますが、いつもと何か様子が違うなと感じたら、一度、受診しましょう。
少量の分泌物が見られる
朝の起床時、尿道口に透明または乳白色の粘液が付着していることがあります。分泌物が目立たない場合、感染を疑わないことが多いです。
排尿時の軽い痛み
痛みは軽度であるため、ほとんど気づかれない場合も少なくありません。繰り返し症状が現れる場合は、検査を検討してください。
性行為時の違和感や痛み
尿道付近や陰茎全体に不快感が広がることがあります。痛みが強くなる場合、他の感染症を併発している可能性も考えられます。
見落としがちなクラミジアの喉の症状
咽頭クラミジアの最も重要な特徴は、感染者の約9割が無症状であるか、症状が非常に軽いことです。症状が現れる場合でも、風邪と非常によく似ているため、区別が困難です。そのため多くの場合、感染に気づかないまま過ごしてしまうことがあります。
無症状でも感染している可能性があるため、リスクのある性行為をした場合は検査を検討しましょう。放置すると、パートナーへの感染や自身の性器への感染リスクが高まります。
※ 潜伏期間は、感染から症状が現れるまでの期間は、通常1〜3週間程度とされています。
主な症状
咽頭クラミジアに感染した場合、以下のような症状が現れる可能性があります:
- 喉の痛みや腫れ
- 喉のイガイガ感
- 発熱
- 鼻づまり
- 耳閉感(耳に何かが詰まったような感覚)
- 咳、声のかすれ
症状だけでは咽頭クラミジアを判断することは困難です。疑わしい症状がある場合は、早めに医療機関での検査を受けることが重要です。
咽頭クラミジアは適切な抗生物質治療で治癒可能です。気になる方は当院へご相談ください。
男性のクラミジア感染症の原因
クラミジア・トラコマチスという細菌に感染することによって発症します。クラミジア・トラコマチスは通常の細菌とは異なり、細胞内に寄生して増殖する性質を持つ細菌です。この性質により、治療には宿主細胞の中での増殖を抑える抗生物質が必要となります。
男性の感染経路と感染部位
基本的には性行為が最も一般的な感染経路です。性器が直接接触する行為、例えば粘膜の接触や体液(精液、膣分泌物)を介して感染します。性行為の準備段階での接触でも感染する可能性があるため注意が必要です。
クラミジアは咽頭にも感染するため、オーラルセックスなどの行為によっても口腔内粘膜を介して感染します。咽頭クラミジアが発症した場合、症状がほぼ出ないため、知らずに他人に感染させるリスクが高まります。尿や精液が付着した手で目や口を触れることで感染する場合があります。まれですが、目に感染するとトラコーマ(眼感染症)が発生します。
クラミジア感染症の検査方法
尿検査
尿道感染が疑われる場合には、尿検査を行います。初尿(最初に排出される尿)を採取して検査します。
尿検査は痛みがなく簡単で、最も一般的な方法です。
分泌物検査
尿道炎の症状がある場合、尿道口から綿棒で分泌物を採取します。クラミジアの存在を直接確認するため、正確性が高いです。
咽頭や直腸のスワブ検査
オーラルセックスや肛門性交がある場合は、専用の綿棒で粘膜を擦り、サンプルを採取します。
PCR検査
感染が疑われるすべてのケースに有用です。サンプルから遺伝子を増幅してクラミジアのDNAを検出します。感度が非常に高く、陰性でも信頼性が高いです。
- 検査前に2~3時間排尿を控えることが必要な場合があります。
- 感染の可能性がある部位を医師に正確に伝えることが重要です。
クラミジア感染症の治療法
抗生物質の使用
アジスロマイシン
単回投与で治療は完了します。治療完遂率が高いです。
ドキシサイクリン
1日2回、7日間服用します。効果は高いですが、飲み忘れがあると治療効果が低下します。
治療中の注意点
- 性行為の制限:
治療中および治療完了後7日間は性行為を控える必要があります。 - パートナーの治療:
パートナーも同時に治療を受けない場合、再感染のリスクがあります。 - 再検査:
治療終了から3~4週間後に再検査を受け、治癒を確認することが推奨されます。
クラミジア感染症の予防方法
コンドームの使用
正しくコンドームを使用することで感染リスクを大幅に軽減します。
定期的な検査
コンドームでの性病予防は有効ですが、完全に予防できるわけではありません。
無症状の感染を見逃さないために、半年ごとなど定期的な検査を受けることをおすすめします。
パートナーとの話し合いを
感染リスクについて正直に話し合い、予防策を共有しましょう。