熟眠障害とは?特徴と症状
熟眠障害は、睡眠中に眠りの浅い状態が長く続いて脳が十分に休まらないことで起こる不眠です。睡眠のサイクルである「浅い眠り:レム睡眠」と「深い眠り:ノンレム睡眠」の周期バランスが乱れることで起こると考えられています。
熟眠障害は、睡眠時間が極端に短いわけではないのに、寝ても満足感を得られません。一晩眠っても、スッキリと起きられなかったり、朝(起床直後)から疲れや怠さを感じたりします。日中に眠気を催したりすることが多くなるため、注意力や集中力が著しく低下します。
熟眠障害になりやすい人
そのほかの不眠のタイプとしてあげられる「中途覚醒」や「早期覚醒」、「入眠障害」が原因で、熟睡感が得られない状態に陥るケースが多くみられます。また、必要以上に睡眠時間を長くとってしまうことが熟眠障害の引き金になっている場合もあります。たとえば中高年や高齢者の中には、「歳を重ねるにつれてなかなか熟睡できない日が増えた」と訴える患者さんが多いです。年齢とともに眠りが浅くなるのは一種の老化現象なので、長時間寝ることにこだわる必要はありません。「たくさん寝る、ぐっすり寝る」よりも、「普通に寝られれば良い」と考え、必要以上に無理に睡眠時間を確保することにこだわりすぎないようにしましょう。
熟眠障害の受診のタイミング
熟睡感が得られないと感じたら、就寝と起床の時間を見直してみることが大切です。また、日々の生活に適度な運動を取り入れることで、夜ぐっすりと眠れるようになります。生活スタイルを見直しても熟睡感を得られない状態が1カ月以上続き、日中に不調を感じたり、生活に支障をきたしたりしている場合は不眠症の疑いがあります。
不眠に伴う気になる症状を感じたら、なるべく早めに受診しましょう。
熟眠障害の主な原因
熟眠障害の背景には、睡眠時無呼吸症などの別の病気が隠れている場合があります。このようなケースでは、病気の治療をすることが症状改善につながります。
睡眠時無呼吸症(SAS)
睡眠中に呼吸が止まる病気を、睡眠時無呼吸症といいます。毎晩のように睡眠中にいびきをかく人は、その疑いがありますので、一度医療機関を受診して検査しましょう。睡眠時無呼吸症になると睡眠が浅くなるため、熟睡感が得られずに、日中に眠気や倦怠感が表れます。しかし、自覚症状の無い方も多いため、体の不調や違和感を見逃さないようにしましょう。
熟眠障害で処方される睡眠薬の種類・料金
初診料、診察料は0円
当院では、不眠症の治療として薬物療法を行います。そのためには、熟眠障害の原因として考えられる病気(睡眠時無呼吸症など)の疑いが無いかを診断することが大切です。重度の睡眠時無呼吸症を患っている方は、睡眠薬によって気道が閉塞しやすくなったり、無呼吸状態からの呼吸回復に遅れが生じたりするリスクが高いです。そのため、まずは専門機関で睡眠時無呼吸症の検査を行い、検査で異常なしと診断された場合に(もしくは適切な治療をして無呼吸の症状がある程度改善してから)、睡眠薬を使用するようにします。
診察料、初診料、再診料、処方料はすべて無料です。料金表以外の料金はいただきません。
不眠治療薬のご紹介 | 料金 |
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超短時間型睡眠導入剤 (例:ハルシオン、マイスリーなど) |
3,800円~4,800円(税込) |
短時間型睡眠導入剤 (例:レンドルミンなど) |
3,300円(税込) |
中間型睡眠薬 (例:サイレース、ユーロジンなど) |
2,200円~3,800円(税込) |
短時間型抗不安薬 (例:デパス、ソラナックスなど) |
2,200円(税込) |
使用する睡眠薬の種類によっては長期に服用した場合に依存に陥り、服薬がやめにくくなる恐れもあります。必ず医師の指示に従って服用することが重要です。
睡眠薬の種類について
国内正規品のみ提供
熟眠障害では、主にベンゾジアゼピン受容体作動薬という睡眠薬が処方されます。大脳のGABA(γアミノ酸酪)受容体に作用し、催眠効果をもたらす薬です。この薬は作用の持続時間が長いものから短いものまでいくつかの種類があります(主に超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型の4タイプ)。
一般的に熟眠障害の患者さんには、朝の目覚めが良くなるように「超短時間作用型」の睡眠薬が処方されます。
熟眠障害の予防と対策
寝ているのに熟睡感がない、ぐっすり眠れないという方へ
熟眠障害は生活習慣の影響が大きく関わっていることもあります。日々の生活で不眠を悪化させる要因が無いかを考え理解し、改善しましょう。
アルコールやカフェインを控える
アルコールは一時的に眠気を誘発することがありますが、その後、睡眠の深さを浅くしてしまうため、熟眠障害を引き起こすことがあります。特に、アルコールが分解される過程で体温が上昇し、覚醒を促進することがあります。カフェインは脳を刺激し、眠気を抑制する効果があります。特に夕方以降にカフェインを摂取すると、夜間の覚醒によって熟眠障害を引き起こすことがあります。喫煙者は、禁煙する
喫煙者は浅い眠りのレム睡眠が増えて、熟睡感が得られにくくなることが分かっています。たばこの煙に含まれるニコチンには、気持ちを落ち着かせるリラックス効果があります。しかし、それは吸った直後だけで、そのあとは覚醒作用が数時間にわたって持続するため寝つきが悪くなります。
喫煙される方で、夜中にタバコを吸いたくなって目が覚めてしまう経験のある方は少なくありません。これは一種のニコチン依存症です。日中に眠気を感じた際も、タバコを吸って目を覚まそうとする方がいらっしゃいます。そのような生活習慣を続けていると、夜はさらに熟睡感が得られなくなり、悪循環に陥ります。
タバコは多くの有害物質が含まれており、様々な病気の原因につながることは誰もが知っています。禁煙外来を受診するなどして、禁煙に努めましょう。
熟眠障害に関するよくあるご質問
不眠の自覚はありませんが、寝ても疲れが取れません。不眠でしょうか?
起床直後に疲れや怠さなどの不調を感じる方は、不眠の可能性が高いです。
寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めたり、全く眠れないような自覚症状がある場合、眠りに何らかの問題があると気付きやすいです。一方で、熟眠障害の場合は普通に眠れていることが多く、たとえ疲れがたまっても、自分が不眠だと自覚していないケースは少なくありません。そのため、日中の体調の変化から心当たりのある症状を手掛かりとして判断することが重要です。毎日よく眠っているはずなのに、疲労感・不快感がある/注意力・集中力が持続しない/記憶力が低下している/仕事や学業に影響がある/イライラ感・やる気の低下を感じる/仕事や運転で不注意が目立つ/頭痛や消化器系の症状がある、など、これらの症状に該当する方は熟眠障害が疑われます。
睡眠中に足がピクピク動く症状が現れることを家族に指摘されました。日中に強い眠気を感じるのですが、不眠と関連はありますか?
周期性四肢運動障害が引き金となり、不眠症になることがあります。
睡眠中に足がピクピクと動く症状が周期的にあらわれる病気で、家族が気付いて受診されるケースがあります。症状のせいで中途覚醒が起こったり、眠りが浅くなったりするため、熟睡することができません。この症状は脳の神経伝達物質であるドーパミンの機能異常が関係していると考えられています。周期性四肢運動障害と診断された場合は、ドーパミンの働きを改善する薬物療法が行われます。必要に応じて専門機関をご紹介しますので、まずはご相談ください。
寝酒が習慣になっているのですが、控えた方がよいでしょうか?
アルコールには眠りを浅くする作用があるため、控えましょう。
アルコールには心身の緊張をほぐしてリラックスさせる効果があります。寝る前に飲むと良く眠れるように感じるのはそのためです。しかし、アルコールには摂取後から約数時間たつと眠りを浅くする作用があり、早朝覚醒(朝早く目が覚める)や中途覚醒(夜中目が覚めて、眠れなくなる)が起こりやすくなります。結果、熟眠障害を招きます。
睡眠薬を服用している方は、必ず医師の指示に従うようにしてください。睡眠薬の種類によってはアルコールによって副作用を招く可能性が高くなるためとても危険です。